楽しくなければごはんじゃない

食べるの大好き。食いしん坊おじさんの個人的なごはんの記録です。Twitterもやっています。@ksb043

【番外編】入院中のお楽しみ part2の5 10/3~10/8

ついに5週目に突入。1ヶ月以上入院することになるとは。

果たして無事に退院できるのか──。

 

ちなみに普通食じゃないこともあり、食べながら色々考えることが多かったため、普段書かないような自分の食に対する考えとか主観的な内容マシマシになっています。一部コラムみたいになっててしゃらくさい感じですが、無理に読まなくて全然大丈夫です。気になった方だけ、どうぞ。

 

↓1週目はこちら。

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↓2週目はこちら。

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↓4週目はこちら。

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◆10月3日(月) 朝

10月3日(月)の朝ご飯 8:00

五分粥


今朝から五分粥になりました。三分粥と比べたら、もはやライスじゃん、これ。

 

具なしの「味噌汁」も3日目なのでもう慣れた。というかね、申し訳程度に入ってるくらいなら、具なしで全然構わんのよ。さすがにもう味が濃くは感じなくなってきたけれど、まだ丁寧に味わえる感覚は残っている。汁物ってあれだね、飲んでからほっと一息つくこと、それがとっても大事と気付いた。香りと温もりがね、体の中に広がる感じね。そんなことにも気付かず、今までどう生きてきたんだって話ですよね。反省。反省の味噌汁。

メインは「鶏と野菜のスープ煮」。具が原形を止めてますね。ビジュアル的には、昨日一昨日かかっていたモザイクが一段階薄くなったような感じですね。鶏そぼろの粒も大きくなり、キャベツ、タマネギ、ニンジンなどの野菜も原形を留めている。ってことは食事に食感が加わったということ。ほんのちょっとだけれどシャキッと野菜を噛む感覚がある。そうすると反射的にもう一噛み、もう一噛みと咀嚼が促され、自然とよく噛んで食べようとしてしまう。味は素材の旨味とほどよい塩味。美味い。

五分粥」は三分粥と比べたらまじでライス。食べ応えが全然違う。掬った後に少し「たいみそ」をかけて食べてみたりした。美味しい。加熱(焼いたり炒めたりお湯で溶かれたり)されていない味噌ってそんなに好きじゃないんだけれど、白米に味噌と違って重湯が良い働きをしてくれて、三分粥の時以上に五分粥は味噌が合う。七分粥くらいまでは味噌合いそうだな。好みとしては。

デザートはヨーグルト。

 

三分粥&ペーストの方が面白味はあったけれど、段階を踏んでいくので食事というものを見つめ直す良い機会だよ、ほんと。

三分粥&ペーストは「味の概念」を、五分粥は「食感の存在」を私の魂に叩き直してくれた(大袈裟)。この修行(?)を経ることで、私はもう一段レベルの高い食いしん坊になれるのだ……。なんてね!

 

 

◆10月3日(月) 昼

10月3日(月)の昼ご飯 12:30


お昼は朝以上に具材の形がはっきりしている。

こうやって加速的に普通食へ戻っていくのか……。

 

野菜は「里芋の煮付け」。甘辛であっさり目な煮汁が、里芋にしっかり沁みていて美味しい。里芋なんてね、口にいれたらすぐペーストみたいになっちゃうから、舌触りはともかく普段そこまで食感を気にしていなかったけれど、舌や歯で押されて柔らかくほどけていく食感はかえがたいものがあるね。表面のほんの少し固い食感と、内側のねっとりとした食感のコントラスト。繊維を噛む食感も今はしっかり感じられる。ほのかな土臭さや、ふっと鼻を抜ける素朴な香りも良い。そうだね、これが里芋の良さだね。

メインは「豆腐のカニカマ煮込み」。豆腐とカニカマが薄めの和風餡に絡められている。豆腐は舌で押せば弱々しくも跳ね返る弾力、噛めば儚く崩れる食感。そこへカニカマのプリっとした弾力が加わって、餡のとろみも後押しし、全体として弾むような食感になっている。弾力っていうのは改めて楽しい食感だね。咀嚼にリズムも与えてくれて、気分がウキウキしてくる。味は、餡は優しい塩梅だけれど、カニカマの塩味が加わることで、それなりにパンチが出ている。なかなか美味しい。欲を言えばネギがちょっと入ってたら良かったな。今の自分には、無くても十分だけれど。

五分粥」には「ゆずみそ」を入れていただく。これ、三分粥の時には薄まっちゃってゆずの風味しか感じられなかったけれど、今回は甘味もすごく感じる。科学的な仕組みはわからないけれど、やっぱりお米の粒が増えたことが原因なんだろうね。けっこうよく混ぜたけれど、最後の一口までしっかり甘味と風味を感じられた。

デザートは「アセロラゼリー」。味はちょっとアセロラ薄めだけれど、やや固めのゼリーで食感がうれしい。

 

お昼も食感を意識させられた食事でした。

 

 

◆10月3日(月) 夕

10月3日(月)の夕ご飯 18:00


もうこうなってくると、五分粥以外は普通の食事ですね。

 

「味噌汁」には久しぶりに具が。小さい玉麩が3つ。ほぼ無いのと一緒だけれど、やはりここでも食感がキーワードに。お麩は味を変えるでもなく、それ自体に大した味があるわけでもないけれど、ふわっとした食感を味噌汁の合間に提供してくれている。そういうアクセントなんだと思えば、たった3つで味気ないこいつも、何だか特別なものに見えて……こないこともない。味噌汁は実際濃くないのかわからないけれど、もう濃いとは感じなかった。むしろ出汁の旨味がちょっと物足りなくさえあった。こうして人は刺激を求め、堕落していくんですね(大袈裟)。

おかずその1は「いり豆腐」。豆腐、玉子、タマネギが甘辛い汁で炒り煮にされている。 こうして料理が立体的になってくると、ペーストの時と違って、口に入れた後の味の変化に意識が向いてくる。豆腐の中まではしっかり味が沁みておらず、汁もそこまで濃いわけではないので、口に入れて数瞬の後に味が薄く感じる瞬間がある。咀嚼のリズムの中でそこをカバーリングできるだけの具材がなく(タマネギでは力不足だった)、よく味わったからこそちょっと物足りなさがあった。要するに豆腐という主食に対してその他がおかずの役割を果たし切れていない感じがする。白米のおかずとして、そこまで意識せず食べたら普通に大丈夫な気もする。普段おかずは白米とセット(または酒の肴)としてしか考えていないところがあるけれど、単体でしっかりと向き合ってみると、感じることも違ってくるんだな。

おかずその2は「肉団子の野菜あん」。ついに挽き肉が形を成した。単細胞生物から多細胞生物に変わったくらい大きな変化。いり豆腐同様、これも立体的になったことにより、下味に乏しい鶏団子の中が味薄い問題が発生している。これならいっそ鶏そぼろの方が満足感が高いんじゃ、という考えが頭を過る。食感っていっても一瞬のことで、ほとんどそぼろと変わりないし。料理って難しいね。何故そぼろでなくて団子にしたか、って意図がしっかりしていないと、たぶんこういうことになるんだね。団子にしたことでこういう問題は発生するわけだから、やっぱり下味をつけるか餡を濃くするかしないといけなかったんだと思う。白菜は柔らかいけれど、ほんの少し食感を残していて良かった。

苦手ってほどでもなくなった「うめびしお」。最初は舐めてたんだけれど、後半五分粥に混ぜてみた。うーん、なるほど。甘味と塩味は薄まってしまいほとんど感じない。酸味と風味は残っているけれど、何か渋みというか、最後に舌に残る嫌な感じがあった。そのまま舐めるか、匙に乗せてお粥と食べるのがちょうど良かった。学んだ。

 

食感っていうのは、料理を立体的に見たときの一面でしかなかったと気づかされた。

 

 

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◆10月4日(火) 朝

10月4日(火)の朝ご飯 8:00


今日も五分粥

 

再び具なしに戻った「味噌汁」は何かいつもより熱々。病院食は熱々であることが基本的には無いので、喉を通る熱が心地よい。温度も、料理の大事な要素と思い出した。元々温度はかなり意識していて、常温を1、ヤケドするほど熱々を5と考えた場合、料理によって、またはその組み合わせによっての適温は違うと考えている。例えば白米にしても炊きたて熱々こそ志向とは思っていなくて、おかずによって1~5それぞれベストの温度があると考えている。もちろん単なる好みの問題だし、日によってベストが変わることもあるけれど、納豆には温度3くらいのご飯の方が熱で納豆の粘りも消えず香りの立ち方もほどよく白米の甘味とのバランスも良いと思っているし、焼き肉とか唐揚げとかは温度2~1くらいのご飯の方がおかずの塩味と白米の甘辛そしてお互いの温度を補完しあって味わいやすいと思っている。提供時から徐々に温度が下がっていくことで、味が変化していく様も面白いと思っている。熱々がベストコンディションの料理も、少しずつ冷めてくる中で味の感じ方も変わってきて、冷めたあとに感じる良さがあることも。今日の自分の体調や、求めている味によって、料理の温度ももっと気にするべきだな、と再確認した。

メインは「半ペンの野菜煮」。はんぺんのふわっと且つプリっとした食感に、タマネギのとろシャキ食感、ニンジンの噛むと崩れる食感と、具材は少ないながらも複数の食感があって飽きない。味は練り物煮てるからちょっとおでんっぽい。はんぺんの塩味があるので、味はしっかりとした印象。これなんかは人肌くらいの優しい温度で、食べるとほっこりした気分になる。でも味は若干飽きる。練り物ってそういうとこあるな、と個人的には思う。

「ゆずみそ」は「五分粥」に入れていただく。あ、ちょっと入れるの最初過ぎたかも。おかず(というかはんぺん)の濃い味もあってか、だいぶ薄まっちゃった感ある。もうちょっと食べ進めてから入れれば良かったな。これも温度の話をすると、病院のお粥は人肌くらいの適温。そんなにお粥好きなわけじゃないので外食で食べることはほぼないけれど、家で食べるお粥って熱々な印象があった。全粥かそうでないかって問題もあるけれど、三分粥五分粥は人肌くらいが味わい深くて良い気がする。味を加えるにしても、熱々じゃない方か色々バランス良いんじゃないかなあ。今後家族が体調崩した時なんかは意識して作ってみよう。

 

今日のテーマは「温度」ですね。

 

 

◆10月4日(火) 昼

10月4日(火)の昼ご飯 12:30


何かめちゃくちゃお腹空いた。お腹が健康な証拠だね。

 

とにかくお腹が空いているので「うめびしお」を片手に「五分粥」をがっつく。ちょっとぬるいけれど、こんなときにはこれくらいの温度がありがたい。うめびしおの酸味と塩味も相まって、とても食が進む。胃の中にたまっていく食べ物の重み。この感覚。生き物として抗えない満足感。ああ、食べるって幸せ。

メインは「煮魚」。すごいね、もう完全にただの煮魚だね。煮魚は別に熱々じゃなくても良いけれど、もうちょい熱めが良かったな。やや冷め気味。鱈の身はホロホロとして繊維っぽい食感が残る。パサついているわけではなく、まあ悪くない。味はよく沁みている。味付けは甘味よりやや塩味が勝っている。白米のおかずには良いと思う。

「さつま芋の甘煮」は何故かペースト状に逆戻り。消化のためってことよね。ペーストにされていることで、味は渾然一体となり、場所や咀嚼に乱されずどこをどう食べても同じ味。これはこれで素晴らしいことだよね。温度は人肌でほっとする。さつまいもの素朴な甘味と、はちみつレモンっぽい酸味と風味が心地よい。

デザートは「青りんごのゼリー」。今まで出てきたゼリーって何故か底の方がシャリつく冷たさだったのに、これは常温。ゼリーは冷たいのが好きだけれど、固めのゼリーは常温も悪くないと思っている。で、味なんだけれど、何か、何だろう、青りんごは青りんごなんだけれど、高麗人参エキスみたいな香りがする。不味くはないけれど、美味しくはないよね。どういうオチ?

 

 

◆10月4日(火) 夕

10月4日(火)の夕ご飯 18:00


サラダが実体を成している……。

 

「スープ」は具なしのコンソメ。ちょっとぬるい。スープはやっぱふーふーするくらいが良いなあ。そして具なしのコンソメスープは物足りなさがある。しかしあれだね、塩味に舌が慣れてきてる。そう濃いとも感じなくなってきた。

「野菜サラダ」はツナに皮をむいたキュウリ、あとキャベツかな。ひんやりとしていて、キュウリを噛むと心持ち体もひんやりする、気がする。先日のペースト状になったサラダでは感じられなかった。フレッシュな食感が清涼感に繋がっているんだと再確認。

メインは「鶏肉のクリーム煮」。……鶏肉どこだ。見た感じ、入ってないけれど……。何かちょっと粒状のものが入っているけれど、これかな。とりあえずクリームを一口。えっ、怖い怖い怖い。めっちゃチキンとクリームの味がする。えっ、なんで、ペースト状になって溶け込んでるのか。えー、なんで。じゃがいもはけっこうしっかり食感で美味しい。タマネギはしゃきしゃきしててもう少し煮込んで欲しいくらい。ニンジンも食感を残している。でもダメなんだ、チキンは、そぼろかペーストじゃないと。何かなー、物足りなさがあるなー。あとぬるい。こってりした味付けではないので温度が下がってもさほど味的には気にならないけれど、やっぱり熱々が良かったなあ。ちなみに味は鶏肉の旨味もしっかり出ていてけっこう美味しかった。

物足りなさを感じつつ「五分粥」。あ、落ち着く。なんだかんだいってクリーム煮は今の自分の舌には濃厚な味わいなので、重湯がなんか落ち着く。後半「たいみそ」を投入して味変。美味しくいただいた。

 

熱々のご飯が恋しくなって来ましたね。

 

 

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◆10月5日(水) 朝

10月5日(水)の朝ご飯 8:00

全粥


今朝から全粥。これはもうご飯。

まずは具なしの「味噌汁」。今朝のはそんなにぬるくない。でも何だろうあんまり香りがしない。旨味も塩味も感じるけれど、いつも以上に味噌の風味が感じられない。鼻がおかしいんかな。うーん、そんな感じでもないけれど。

メインは「竹輪と里芋の煮付」。焼き目がなくて食感固めのちくわ、里芋、ニンジン、タマネギが煮られている。ちくわの影響で若干のおでん感あり。ちくわが固めの食感で良い感じ。

「全粥」は五分粥までと比べて食べ応えが桁違い。お腹にたまる感覚も全然違う。お米の旨味も香りもガツンとくる。美味しいけれど、ちょっと疲れるね。贅沢な悩みですねえ。重湯がなくなった分「うめびしお」がさらに活きてくる。好きな味ではないけれど、もう避けるほどでもないな。

最後に「ヨーグルト」。

 

今日のテーマは「香り・風味」かなあ、と思ったけれど、最終的に一番気になったのは「色味」だったんですよね。むしろ香りが気になってたのは絶食期間中ですよ。こうして普通に毎食食べられるようになると、ほんと色味が気になる。メニューや食材もそうだけれど、病院の食事はお皿がつまらない。もう一度言おう、お皿が、つまらない。ほんとこれ大事なことだから。

 

 

◆10月5日(水) 昼

10月5日(水)の昼ご飯 12:30


色味……朝よりはましかな。

 

「高野豆腐の野菜あん」は高野豆腐にカニカマと白菜が入った和風餡がかけられている。心配だったけれど高野豆腐にある程度は味が沁みており、餡もけっこうたっぷりなので薄い感じはなかった。餡は野菜の甘味とカニカマの風味と旨味が感じられて悪くない。欲を言えばもうちょい緑が欲しいですね。

メインは「蒸し鶏のあんかけ」。一食で二品あんかけ。これも色味に乏しいなあ。食べてみると、あら、まあまあ美味しいじゃない(あくまでも病院食としてはね)。多少パサつきはあるものの、蒸したことで旨味が凝縮されている感じ。餡も高野豆腐のと違ってほんのり香味野菜っぽい香りもして食べ応えがある。ほうれん草とか添えてくれたら良かったなあ。

「たいみそ」は「全粥」の合間に舐めることにした。その方がメリハリあって美味しく感じる。

デザートは「ラフランスゼリー」。味はまあ安っぽいんですけどね、それでもデザートは嬉しい。

 

 

◆10月5日(水) 夕

10月5日(水)の夕ご飯 18:00


あんまり考えないようにしてたんだけどさ、看護師さんなんかと「そろそろ退院だねー」なんて話してたこともあってさ、その、ご飯がさ……質素で、ツラいよね……。正直。美味しく楽しく味わうのにもパワー使うんよ……。このまた色味に面白味のないメニューを見たらさ……ちょっと、ガックリきちゃったのよね……。せめて心浮き立つようなメインの一皿があれば、それだけで良いんだけどね……。

 

スープは「中華スープ」。具なしの鶏ガラスープってことですね。そりゃ美味しくないことはないんだけどさ……。味は知ってる市販の鶏ガラスープの味じゃなかったので、そこだけはちょっと面白かった。ガラっぽさを強く感じた。

「ジャガ芋と玉葱の煮付」は名前の通りの味。ちょっとしばらくこの味が続いているので、正直ちょっと飽きてきてますね……。じゃがいもは水分量の少ないタイプのいもで、個人的にはもう少しホクホクなやつが良かったな。

メイン然としているのは「スクランブルエッグ」。いや、夕飯のメイン張れるタマじゃないかんね。食感はぷりっとしていて、まあ久しぶりに食べたので美味しくいただきました。色味は良いよね。

そんなテンションの中での「全粥」。「ゆずみそ」を一匙一匙かけていただくけれど、何かちょっと物足りなさがある。秘蔵のふりかけを贅沢に二袋も空けていただいた。ふりかけは色味が良い。

 

限界って、突然やってきますね。

 

 

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◆10月6日(木) 朝

10月6日(木)の朝ご飯 8:00


昨日、入院31日目にしてさすがに病院食に飽きが来てしまった。絶食前にもかなり来てたけれど、流動食でちょっと楽しくなった気持ちももう果ててしまったようです。五分粥まではまだ「特別な状況」ってフィルターがあったけれど、全粥になったらもうそれは「ただの質素な食事」にしか感じられなくなってしまったわけです。いっそ重湯に戻してくれ!

 

と、ちょっと取り乱しましたが、お腹は空いているので美味しくいただきます。

 

「味噌汁」は具なし。昨日あんまり風味を感じられなかったけれど、今日もやっぱり香りが乏しく感じる。味噌の風味が飛んじゃってるんですかね。

メインは「野菜のそぼろ煮」。いや、だから、ツラいて。この味の料理の頻度が高い気がするのよ。でもまあそぼろが入っている分、食べ応えと味のバランスが良く、それなりには美味しくいただけた。具にお麩も入っていて、ツルツルもちっとした食感がアクセントになっていて良かった。

「全粥」は「たいみそ」を舐めながら。そして後半は迷わず秘蔵のふりかけを二袋使用。もうね、ガンガンかけていきますよ。

デザートに「ヨーグルト」。牛乳が恋しい。

 

昨日は結局「色味」への不満でガクッと来てしまったけれど、今日は改めて「香り」。病院食を1ヶ月食べてきて、色味の次に物足りないのが「香り」なんですよね。病院食って、香辛料とか香味野菜とか、香りのするものが非常に乏しい。入っていても香りは控え目。まあ色んな理由があるんでしょうけれど、食べる前のワクワク感や、食べた時の刺激、食べた後の余韻、それらに香りって不可欠じゃないですか。この入院での食事を振り返ってみると(こういうとき自分のブログが便利)、美味しいって思ったもののほとんどは香りが良かった。次にまた長く入院することがあれば、香辛料は持ってこよう。

 

 

◆10月6日(木) 昼

10月6日(木)の昼ご飯 12:30

 

んー、あー、もう少しお皿を考えてくれれば……。透明なソースがかかっただけの蒸し鶏を白いお皿に入れるくらいなら、サラダチキン袋のまま出してくれた方がずっと食欲そそるよね。ほんと。

 

まずは色味の良い「マカロニのトマト煮」から。あ、うん、あれだ、カップの、お湯入れてぐるぐる混ぜるタイプのスープのやつっぽい味だ。あれ好きだから、これも美味しく感じる。ふやけたマカロニも愛嬌がある食感。朝あれだけ文句言ってた香りも悪くない。トマト、タマネギ、ニンジンの香りに加えて、強くはないけれど香辛料の香りも感じられる。まあ出来ればほんの一振、パセリでもふりかけてくれたら見た目もグッと良くなっただろうに。うん、でもこれは満足。

メインとしては衝撃的な色味のなさなのは「鶏肉のワイン漬け」。食べてみると、うーん、けっこうパサつく。胸肉のパサつきなんて簡単に解消出来るのにねえ、もう一手間くらい惜しまないで欲しいですねえ。味はサラダチキンみたいなもの。そこに後からふわっとワインの香りが鼻を抜ける。そう、そうだよ、こういうことよ。この香りがなかったらただのパサついたチキンで終わっちゃってたでしょう。でも香りが加わることで、全然満足感が違うもの。美味しいって思える余裕が生まれるもの。結局、香りや風味に乏しい料理って、いくら美味しくても「食べた瞬間の美味しい」しかないから、思い出に残りづらい気がする。別に香りが強い方が良いって話ではないんだけれど、それは味の濃さも同じだよね。ちょうど良いがちょうど良い。

「全粥」には前半は「ゆずみそ」をかけていただく。ほら、ね、これも香りだよ。朝の「たいみそ」はそのまま舐める分には美味しいけれど、お粥に混ぜると香りが弱いので対全粥で考えると物足りなさがある。でも「ゆずみそ」は香りが強いので、対全粥だと負けていない(三分粥、五分粥の時はまた違ったけれど)。後半は再びふりかけ二袋を開封。ふりかけ(おとなのふりかけ)は香りが良い。

 

朝と比べたら色味も香りも良く、ずっと満足した。

 

 

◆10月6日(木) 夕

10月6日(木)の夕ご飯 18:00


緑はないものの、多少見た目に気遣ってくれた感じ。いや、別にクレームとか言ってませんからね。

 

「味噌汁」にはお花の形のお麩がふたつ。これだけで全然印象が違うよね。しかも病院食にしては熱々で、のどを通る熱が心地よい。

野菜は「大根のそぼろ煮」。また野菜煮たやつか……と思ったけれど、大根ってすごいね、大根の香りが加わったことで、ここ何回かの優しい味わいの野菜煮とは違って根菜の力強さを感じる。普段は大根ってどちらかと言えば優しい印象の食材だったけれど、こうやって食べてみると香りも味もパワフル。上に乗ったそぼろが旨味を加えてくれているので、まあまあ美味しくいただけた。

メインは「レモン味噌焼き」という聞きなれない料理。食べてみると、レモンの風味はちょっと感じられなかったけれど、柑橘系の酸味が味噌に加わって悪くない感じ。鯖かな、これはちょっとパサついて脂の少ない感じだけれど、まあこれくらいは(病院食としては)許容範囲かな。もう少し味噌が強くてもいいね。魚は香りがハッキリしてるから、そういう意味で食べたあとの余韻があって良い。思えば(無意識だったけれど)この入院中、選択メニューでは魚をけっこう選んで食べたな。

「全粥」には「うめびしお」。すっかり慣れてしまった。香りもあって刺激もあって、病院食に足りない部分を補ってくれるんだもの。

 

夕食はそこまで不満なかった。

看護師さんが気を利かせてくれて、先生に明日から普通食でオッケーと指示出してもらえた。ありがたいねえ。感謝感謝。

 

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◆10月7日(金) 朝

10月7日(金)の朝ご飯 8:00


ってお粥やないかーい!

持ってきてくれた看護師さんとも「お粥だねえ……何でかねえ……」って。まあまあまあ、お昼、きっとお昼からなんでしょう。お昼に期待しましょう。

 

「味噌汁」は具なしに逆戻り。この入れる入れないの判断基準てなんなん。温度は病院食にしては熱々。朝の体に沁みわたる(起きたの5時前だから寝起きではないけど)。

メインは「青菜と鶏の煮付け」。青菜と鶏の風味が感じられ、ベースの味は食べ飽きてしまったものの、かろうじて満足感あり。

「全粥」の前半は「ゆずみそ」で。柚子の香りと味噌の甘味で食が進む。後半はもちろんふりかけタイム。

最後は「ヨーグルト」。

 

退院まで残り3食。

出来る限り楽しむよう頑張る!

 


◆10月7日(金) 昼

10月7日(金)の昼ご飯 12:30

10日ぶりの白米


は、は、は、白米だああ!

10日ぶりの、白米だああ!!

 

とにもかくにもご飯を一口。ああ……これだよ、これ。米の粒が舌の上で踊り、噛み締める度に甘味と香りが口に広がる……。この昼だけはおかずなくてもいけそう……。いや、おかずと一緒にしっかり美味しくいただきますけどね!

野菜は「南瓜煮」。かぼちゃは色味も良いし、味も香りもしっかりしてるからね、安心のサイドですよ。ほどよく且つしっかりとした優しい甘味で美味しいです。

メインは「魚の味噌煮」。食べてみると、うーん、ちょっと味噌が薄いなあ。赤魚にも十分味が沁みてるとは言えない。そのまま食べる分には良いけれど、せっかく白米があるしなあ。もうちょっと味噌が濃ければ……。おいおい「たいみそ」があるじゃないか。明らかにそういう意図ではないだろうけれど、これはもう汁に溶かしていくしかないでしょう。試してみると……正解。煮汁の甘味と旨味と風味が強まり良い感じ。もうここは人目も無いし、魚の身も全部ほぐしてご飯にかけてしまおう。はい、正解。はい美味しい。白米があれば、日本人はいくらでも想像を膨らませて美味しい食べ方を見つけられるのですよ。

デザートのゼリー。これ絶食明け初日にも食べたな。その時はすごく濃厚に感じたけれど……うわ、やっぱりすごい味濃い。ねっとりと絡み付くような舌触りもすごい。よく見たらこれ、カロリー補給様でこれっぽっちで150kcalもするのね。びっくり。

 

いやー、やっぱり白い米は良いね。

これで退院まで安心ですね。

 


◆10月7日(金) 夕

10月7日(金)の夕ご飯 18:00


安心の白米。

 

スープは具なしの「中華スープ」。いわゆる鶏ガラの中華スープそのものなので、特に感想とかはないんですが、まあまあ熱々なのでそれは嬉しい。何かスーパーの試食(試飲)みたいな気分。

サラダは「マセドアンサラダ」。聞き慣れない名前で調べてみると、角切りの具材が特徴のサラダだそうです。具材はじゃがいも、キュウリ、トマト。フレンチドレッシングっぽいもので和えられている。じゃがいもを使っているけれど、マッシュされているわけじゃないので、ポテサラとは違ってさっぱりした味わい。食感も三者三様で楽しく、なかなか美味しいサラダ。

メインは「野菜とそぼろの卵とじ」。大根と鶏挽がいつもの和風出汁で卵とじにされている。大根が若干えぐ味を感じるものの、組み合わせ的には美味しい。でもちょっとおかずにするのは薄いなあ。まあでも今の舌なら、白米そのものを美味しく感じているので、多少おかずの味が薄くても大丈夫。

「うめびしお」はご飯にかけて。進んで食べはしないけれど、もうすっかり大丈夫な味になりました。

 

病院での食事も残すところ明日の朝食のみ。

最後のメニューは何かなあ。

 

 

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◆10月8日(土) 朝

10月8日(土)の朝ご飯 8:00


最後の食事は朝日の中で……。

連日の雨のなか、今日は降ってなくて良かった。

 

「味噌汁」は最後まで具なし。「申し訳程度に入れるくらいなら具なしで良い」と言った心の声が届いてしまったのかも知れませんね。いつもより量が多い気がするのは、気のせいかしら。そこそこ熱くて、今日は味噌の風味も感じられた。ただ若干味が薄く感じた。味噌汁の濃い薄いってその日の体調もあるんだろうね。

メインは「茄子の牛そぼろ煮」。牛の風味と茄子の甘味で優しい美味しさ。でもなー、白米のおかずにはちょっとパンチが足りないなあ。よし、ここは「たいみそ」を投入するしかないでしょう。茄子と牛肉に味噌が合わないはずがないもの。ね、ほら、美味しい。甘味とコクがグッとまして、食べ応え倍増ですよ。

それだけじゃちょっとおかずが足りなかったので、ふりかけでフィニッシュ。ふりかけは有能。

最後にジョアを飲んでご馳走様。

 

入院34日間、全89食。ご馳走様でした。作って下さった方に感謝します。

 

 

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そして退院へ……。

 

正直こんなに長くなるとは……。治ったわけではない(良くはなりました)ので、また入院するかもですが、次はもう少し短いのが良いですね。尚、一週間以上の入院にはふりかけが必須、ということが一番の学びです。