未だ緊急事態宣言の続くなか、仕事で久しぶりの外出。
しかも岐阜への日帰り出張。
これはもう美味しいものを食べねばと張り切り、気になっていたこちらのお店へ。
古びてはいるものの、全体的に清潔感のある店構えだ。
外出自粛が叫ばれるなか、13時過ぎの店内に先客はゼロ。
店主とその奥様だろうか、老夫婦が穏やかに出迎えてくれた。
うどんと丼物が看板のお店だけれど、今日の目当ては違う。
あれだ、中華そば定食。
しかも「天ぷら中華定食」が食べてみたかったんだ。
お得なメニューも気になったけれど、当初の目的である天ぷら中華定食をチョイス。
なんとまあ創業140年近い老舗。
こういう歴史ある店は、これからも生き残って欲しいものだなあ。
5分ほどで提供。
一見すると丼。
しかしこれは二段のお弁当箱のようになっている。
開くとこんな感じ。
上段がご飯としょうが焼き。
下段が天ぷら中華だ。
何て素敵な見た目。
そして何て可愛らしく微笑ましいメニューなんだろう。ふたを開けた瞬間に楽しいウキウキとした気分になる。
さて、まずは天ぷら中華のスープから。
あっさりとした、昔ながらの中華そばだ。その一言に尽きる。しかし、天ぷらの油と衣が、甘味やコクを加えていて、これは何とも形容しがたい、優しい優しい旨味を感じる。
何て言ったら良いのかわかんないけれど、初体験のはずなのに、とにかくめちゃくちゃノスタルジックな気持ちにさせる味。
天ぷらの衣がスープに異様にマッチしてるんだよね。「たぬきラーメン」とかあっても良いかも知れない。
ちなみに麺も「THE中華そば」といったスタンダードなもの。これで良いんだ。これで。
具は青ネギにかまぼこ×2枚、チャーシュー×4切れ、そして海老天×1本。
海老天は衣が多目で、スープの中でぐずぐずになっている。これがスープに深みを加えてるんだなあ。日本人が好きな味だ。
チャーシューはパサッてて固いんだけれど、薄切りだから気にならない。ちょっと濃いめの味付けが何だか嬉しい。
かまぼこは箸休めに。スープとマッチしてこれも良い感じ。
さて、次にご飯だ。
しょうが焼きは醤油の主張が強く、やや塩辛い味付け。
こう言っちゃうと味の感想じゃなくなっちゃうけれど、何かね、おばあちゃんの手料理みたいな感じ(作ってるのはおじいちゃんだけれどね)で、実家で祖父母と同居していた人間からするも、こう、グッとくるものがあるね。
上段も下段も絶品ってものじゃないかも知れないけれど、百年以上の歴史ある老舗の、お客さんに喜んでもらいたいという愛情を感じた。
ご馳走様でした。
満足。